「君の名は。」感想
- 2016/08/27
- 17:36
ネタバレが沢山あります。なんか凄く唐突に色々と書きたくなったのでカテゴリまで作って吐き出します。
流行に乗っかるのってあんまり好きじゃないんだけど、乗っかってよかったって思えることもあるんだなって。よく分からないけどいつも見てるオタク映画と違って席が殆ど埋まってるんだよね。上映開始直後ってのもあるかもしれないけど、そもそもこのクラスの映画を見ること自体初めてかもしれなかった。
新海誠作品は実は一つも触れてない(こんなこと言うと世間知らずとか思われそうですが)ので、ある種新鮮な気持ちで見ることができたのと、子供だった頃はこのようなジャンルに冷めきっていたのに対して最近はやたらと涙もろくもなってきていたので、そういう変化も感じられたらいいなと思った。
結果的には見に行って大正解だったし、なんかやっぱり泣きましたね。終わってから色々回想しながら泣いた。上映中は映画に集中してたけど、終わってから2人の心情とか想像し始めるともうね…。三葉ちゃんの口噛み酒が飲みたいとかそういうオタク臭い感想は今回はなしで。色々な作品をプレイしてきた点から考えてみても、青春系の似たようなシナリオもなければ、これだけのインパクトと感傷を心に残していくような作品はやはり少なかった気がする。
入れ替わり始めてから、彗星が落ちるまで
ここまでは普通に面白かった(funnyな意味で)。そりゃ入れ替わって名前も知らない異性の身体動かせって言われたらそんなもんだよなと。瀧くんは起きるたびにいちいちおっぱい揉む癖が抜けてないし、それに対する妹の反応がいちいち面白い。この展開は後半最後に入れ替わる時にもあったけど、その時は涙流しながら胸揉んでたりして本当に面白かった。けど凄く大事なシーンだったし笑うというよりかはジーンときちゃったな。
入れ替わる中で何故か少しずつお互いのことが気になってきて、段々気を遣い始める。このあたりの描写は省略されがちだったけど、後半の2人のやりとりを見ていればお互いに信じあっていることが伝わってくる。2人のこの感情は、目の前にいる人に恋をする以上に繊細なものなんだろうけど、ただ「気になる」ってその気持ちの一点がキッチリ会いたい気持ちに変わっていく。会いたくて叫んでも絶対に出会えない遠距離恋愛。本当の意味で出会えたのは最初と最後の2回だけ。それでも運命が2人を手繰り寄せてしまう。何があっても運命ならば変わらない。
ちなみに、これは自分がこの映画で一番好きな気に入った台詞こと「来世は東京のイケメン男子にしてくださーい!!!」がありました。自分でもよく分からないけどもう本当に好き。
糸守の真実を知ってから、2人がかたわれ時の中で出会うまで
悲しいけれどもそれでも絶対に諦めなかった瀧くんの姿が本当に印象的だった。入れ替わりの時の記憶を手繰り寄せて糸守の風景を描いちゃうのも勿論凄いけど、最後はやっぱり現実を受け止めて、君の名を忘れかけてもなおあの場所に行けたこと。もしかしたら三葉のおばあちゃんは全て分かってたのかもしれない。それでも最終的に2人は最後にもう一度だけ入れ替わることができたんだから、それだけで他には何もいらないと思う。
最初に涙を流しそうになったのは、宮水の娘と他の誰かが入れ替わる現象は代々続いていたということが分かった時。これってつまり、三葉が糸守を救うために生まれてきた以上に、2人が出会うことは運命によって予め決まっていたってことになる。もしかしたら前世から2人はお互いを探し続けていたのかもしれないし、だからこそ今糸守を救うための奇跡の手綱を託されたのかもしれない。これだけ2人が出会うだけの理由があるのに、気まぐれな神様がお互いの存在を忘れさせようとする。本当に胸が痛い。
かたわれ時の奇跡で、2人は初めてお互いを認識した状態で会える。黄昏時の語源の話は三葉の授業の時に出ていたけど、まさかこんなところでその設定が生きてくるとは思わなかった。分かってても2人が言葉を交わせるというそれだけの展開が本当に卑怯で、何気ない会話を流してるだけなのに自然と涙を流してしまう。たとえ一瞬の奇跡でも、何気ない会話を交わして笑ってるっていうそれだけの事実が、2人にとっては無限にも感じられる時間だっただろうし、眺めてる自分にとっても愛おしかった。
急な2人の別れから、ラストシーンまで
時間が経つにつれてお互いに大切な人の名前を忘れていくのが本当に悲しい。名前を忘れないようにお互いに手に書こうとしたのに瀧くんが書いた方しかまともに残らなかったけど、三葉がそれを見た時に大胆すぎる告白が書いてあった時には身体が震えた。どうして今の今まで三葉はこの手の中を見なかったんだろう。どうして思い出したように手の中に書かれた文字を見て、名前も覚えていないあの子に想いを馳せるんだろう。自分は男だけど、このあたりからずっと三葉に感情移入してて三葉の気持ちを考えるだけで涙が止まらない。この子はどんな混沌とした(恋愛)感情を抱えながら、迫りくる彗星の不条理と戦ってたんだろうか。
村を救うという運命の目的を三葉(瀧くん)は友達も巻き込んで全力出して、それでも結局最終的に全員を救うことはできなかったけど、三葉もその友達も生きてて、変えたかった残酷な歴史は塗り替えられた。都会から見えた彗星はあんなにも綺麗だと誰もが感想を漏らすのに、この時ほどこの彗星の綺麗さを無駄だと思ったことは自分でもないと思う。それでも彗星はやっぱり綺麗だよ!!!ちゃっかり新聞記事が変わってたのには凄く安心した気分になった。この後に及んでビターエンドなんてやっぱり見たくない。
最後にはお互いを忘れながらも、お互いに何かを探している。その中で偶然が偶然を呼んで出会えた奇跡。そして最後に尋ねるのは「君の名は?」。王道かつ読める終わり方だったけど、ここでの2人の出会いが実質最初以来2回目であり、しかも今までの展開を振り返れば振り返るだけ感動が増してくる。名前も知らない貴方を求め続けて、最後には運命が折れてくれたということに意味がある。このあと2人がどんな言葉を交わすのかは全く分からないけど、きっと些細な日常会話でも2人は運命に感謝しながら笑い合って、知らない相手の前ながらお互いにちょっとだけ涙を流してしまうのかもしれないね。
音楽とか総評とか
挿入歌を流すタイミングは総じて卑怯。RADWIMPSさんの繊細な歌詞が相まって作品を盛り上げて(感動的に仕向けて)くれる。歌詞の傾向とか言いたいことはBUMPの藤原さんによく似てるけど、こっちはこっちで独特の良さがあって本当に好き。今まで特に気に留めたバンドでもなかったけど、良いものは自分の知らない所ほど沢山眠ってるということを改めて実感できた。ちなみに自分の一番のお気に入り挿入歌はスパークルです。
グラフィックも綺麗で、アニメ風の絵を用いて雰囲気を出しながらも、星空とか彗星なんかは全く手を抜かない感じで、特に言うなら背景が全体的に凄かった。村の背景は相当頑張らないと雰囲気出ないし、そもそもその雰囲気が出るような背景を作ること自体難しいけれど、本当によくやってくれたと思う。声優さんの演技も自分としては悪くないと思ったし、凄い脚本に凄い肉付けが出来て初めて素晴らしい映画が完成するんだということも実感させられた。
それにしても2時間とは思えないあり得ないほどの密度。積み重ねを重要視する自分としても2時間でやれるだけのことをやれていたと思うし、ノベルゲームの視点で見ても、10時間20時間とプレイしても、大半の作品はこれだけの密度を得られていないかもしれない。詰め込んだものが多いながら、それでも魅力が死なない範囲に収まっているのも、しっかり描く場所と見た人に想像させる場所にキッチリメリハリをつけた丁寧な作りが実を結んでいる部分だと思う。
「君の名は。」という何とも意味ありげなタイトルの意味についてちょっとだけ自分なりに補足しておくと、「君の名は?」ではなく「君の名は。」という形で締めくくられてる分多重解釈ができる。勿論疑問の意味もあるが、それ以上に大切なのは、君の名は、…と言いかけてやめている可能性があることだと思う。新海さん本人が何を考えているかは分からないけど、断定の意味合いを出すだけで、より2人が通じ合っているような感覚に襲われる。
新海さんの他の作品も気になるし、ボーイミーツガールに限らずこの手のアニメ映画が本当に気になり始める。誰かがこの作品は新海誠の集大成だなんて言ってたけど、これの意味も他の作品を見ればわかるのかもしれない。まあ素人目で見ても密度の濃さが圧倒的だったし、そんなこと調べるまでもないんだろうけど。近いうちにまた他の映画なんかも見たいと思った。良い意味で凄く影響を受けたし、結局のところもう最高以外の言葉で形容することができない。陳腐な言葉で締めたくはないけど、まあそれも良いかなって思えたのが、この映画を見た一番確かな感想です。
流行に乗っかるのってあんまり好きじゃないんだけど、乗っかってよかったって思えることもあるんだなって。よく分からないけどいつも見てるオタク映画と違って席が殆ど埋まってるんだよね。上映開始直後ってのもあるかもしれないけど、そもそもこのクラスの映画を見ること自体初めてかもしれなかった。
新海誠作品は実は一つも触れてない(こんなこと言うと世間知らずとか思われそうですが)ので、ある種新鮮な気持ちで見ることができたのと、子供だった頃はこのようなジャンルに冷めきっていたのに対して最近はやたらと涙もろくもなってきていたので、そういう変化も感じられたらいいなと思った。
結果的には見に行って大正解だったし、なんかやっぱり泣きましたね。終わってから色々回想しながら泣いた。上映中は映画に集中してたけど、終わってから2人の心情とか想像し始めるともうね…。三葉ちゃんの口噛み酒が飲みたいとかそういうオタク臭い感想は今回はなしで。色々な作品をプレイしてきた点から考えてみても、青春系の似たようなシナリオもなければ、これだけのインパクトと感傷を心に残していくような作品はやはり少なかった気がする。
入れ替わり始めてから、彗星が落ちるまで
ここまでは普通に面白かった(funnyな意味で)。そりゃ入れ替わって名前も知らない異性の身体動かせって言われたらそんなもんだよなと。瀧くんは起きるたびにいちいちおっぱい揉む癖が抜けてないし、それに対する妹の反応がいちいち面白い。この展開は後半最後に入れ替わる時にもあったけど、その時は涙流しながら胸揉んでたりして本当に面白かった。けど凄く大事なシーンだったし笑うというよりかはジーンときちゃったな。
入れ替わる中で何故か少しずつお互いのことが気になってきて、段々気を遣い始める。このあたりの描写は省略されがちだったけど、後半の2人のやりとりを見ていればお互いに信じあっていることが伝わってくる。2人のこの感情は、目の前にいる人に恋をする以上に繊細なものなんだろうけど、ただ「気になる」ってその気持ちの一点がキッチリ会いたい気持ちに変わっていく。会いたくて叫んでも絶対に出会えない遠距離恋愛。本当の意味で出会えたのは最初と最後の2回だけ。それでも運命が2人を手繰り寄せてしまう。何があっても運命ならば変わらない。
ちなみに、これは自分がこの映画で一番好きな気に入った台詞こと「来世は東京のイケメン男子にしてくださーい!!!」がありました。自分でもよく分からないけどもう本当に好き。
糸守の真実を知ってから、2人がかたわれ時の中で出会うまで
悲しいけれどもそれでも絶対に諦めなかった瀧くんの姿が本当に印象的だった。入れ替わりの時の記憶を手繰り寄せて糸守の風景を描いちゃうのも勿論凄いけど、最後はやっぱり現実を受け止めて、君の名を忘れかけてもなおあの場所に行けたこと。もしかしたら三葉のおばあちゃんは全て分かってたのかもしれない。それでも最終的に2人は最後にもう一度だけ入れ替わることができたんだから、それだけで他には何もいらないと思う。
最初に涙を流しそうになったのは、宮水の娘と他の誰かが入れ替わる現象は代々続いていたということが分かった時。これってつまり、三葉が糸守を救うために生まれてきた以上に、2人が出会うことは運命によって予め決まっていたってことになる。もしかしたら前世から2人はお互いを探し続けていたのかもしれないし、だからこそ今糸守を救うための奇跡の手綱を託されたのかもしれない。これだけ2人が出会うだけの理由があるのに、気まぐれな神様がお互いの存在を忘れさせようとする。本当に胸が痛い。
かたわれ時の奇跡で、2人は初めてお互いを認識した状態で会える。黄昏時の語源の話は三葉の授業の時に出ていたけど、まさかこんなところでその設定が生きてくるとは思わなかった。分かってても2人が言葉を交わせるというそれだけの展開が本当に卑怯で、何気ない会話を流してるだけなのに自然と涙を流してしまう。たとえ一瞬の奇跡でも、何気ない会話を交わして笑ってるっていうそれだけの事実が、2人にとっては無限にも感じられる時間だっただろうし、眺めてる自分にとっても愛おしかった。
急な2人の別れから、ラストシーンまで
時間が経つにつれてお互いに大切な人の名前を忘れていくのが本当に悲しい。名前を忘れないようにお互いに手に書こうとしたのに瀧くんが書いた方しかまともに残らなかったけど、三葉がそれを見た時に大胆すぎる告白が書いてあった時には身体が震えた。どうして今の今まで三葉はこの手の中を見なかったんだろう。どうして思い出したように手の中に書かれた文字を見て、名前も覚えていないあの子に想いを馳せるんだろう。自分は男だけど、このあたりからずっと三葉に感情移入してて三葉の気持ちを考えるだけで涙が止まらない。この子はどんな混沌とした(恋愛)感情を抱えながら、迫りくる彗星の不条理と戦ってたんだろうか。
村を救うという運命の目的を三葉(瀧くん)は友達も巻き込んで全力出して、それでも結局最終的に全員を救うことはできなかったけど、三葉もその友達も生きてて、変えたかった残酷な歴史は塗り替えられた。都会から見えた彗星はあんなにも綺麗だと誰もが感想を漏らすのに、この時ほどこの彗星の綺麗さを無駄だと思ったことは自分でもないと思う。それでも彗星はやっぱり綺麗だよ!!!ちゃっかり新聞記事が変わってたのには凄く安心した気分になった。この後に及んでビターエンドなんてやっぱり見たくない。
最後にはお互いを忘れながらも、お互いに何かを探している。その中で偶然が偶然を呼んで出会えた奇跡。そして最後に尋ねるのは「君の名は?」。王道かつ読める終わり方だったけど、ここでの2人の出会いが実質最初以来2回目であり、しかも今までの展開を振り返れば振り返るだけ感動が増してくる。名前も知らない貴方を求め続けて、最後には運命が折れてくれたということに意味がある。このあと2人がどんな言葉を交わすのかは全く分からないけど、きっと些細な日常会話でも2人は運命に感謝しながら笑い合って、知らない相手の前ながらお互いにちょっとだけ涙を流してしまうのかもしれないね。
音楽とか総評とか
挿入歌を流すタイミングは総じて卑怯。RADWIMPSさんの繊細な歌詞が相まって作品を盛り上げて(感動的に仕向けて)くれる。歌詞の傾向とか言いたいことはBUMPの藤原さんによく似てるけど、こっちはこっちで独特の良さがあって本当に好き。今まで特に気に留めたバンドでもなかったけど、良いものは自分の知らない所ほど沢山眠ってるということを改めて実感できた。ちなみに自分の一番のお気に入り挿入歌はスパークルです。
グラフィックも綺麗で、アニメ風の絵を用いて雰囲気を出しながらも、星空とか彗星なんかは全く手を抜かない感じで、特に言うなら背景が全体的に凄かった。村の背景は相当頑張らないと雰囲気出ないし、そもそもその雰囲気が出るような背景を作ること自体難しいけれど、本当によくやってくれたと思う。声優さんの演技も自分としては悪くないと思ったし、凄い脚本に凄い肉付けが出来て初めて素晴らしい映画が完成するんだということも実感させられた。
それにしても2時間とは思えないあり得ないほどの密度。積み重ねを重要視する自分としても2時間でやれるだけのことをやれていたと思うし、ノベルゲームの視点で見ても、10時間20時間とプレイしても、大半の作品はこれだけの密度を得られていないかもしれない。詰め込んだものが多いながら、それでも魅力が死なない範囲に収まっているのも、しっかり描く場所と見た人に想像させる場所にキッチリメリハリをつけた丁寧な作りが実を結んでいる部分だと思う。
「君の名は。」という何とも意味ありげなタイトルの意味についてちょっとだけ自分なりに補足しておくと、「君の名は?」ではなく「君の名は。」という形で締めくくられてる分多重解釈ができる。勿論疑問の意味もあるが、それ以上に大切なのは、君の名は、…と言いかけてやめている可能性があることだと思う。新海さん本人が何を考えているかは分からないけど、断定の意味合いを出すだけで、より2人が通じ合っているような感覚に襲われる。
新海さんの他の作品も気になるし、ボーイミーツガールに限らずこの手のアニメ映画が本当に気になり始める。誰かがこの作品は新海誠の集大成だなんて言ってたけど、これの意味も他の作品を見ればわかるのかもしれない。まあ素人目で見ても密度の濃さが圧倒的だったし、そんなこと調べるまでもないんだろうけど。近いうちにまた他の映画なんかも見たいと思った。良い意味で凄く影響を受けたし、結局のところもう最高以外の言葉で形容することができない。陳腐な言葉で締めたくはないけど、まあそれも良いかなって思えたのが、この映画を見た一番確かな感想です。